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by S.K.

小舎(こや)的な住宅建築へ

2002年に竣工した南伊豆の住宅+コテージから最近竣工した鎌倉IS-Houseを眺めながら、私のつくる住宅建築はどうも小舎(こや・小屋と同義、私の造語)的なものが多いように感じられてきた。それぞれクライアントの方々も異なるし、それぞれのご要望、予算も異なるのだが、竣工した住宅建築はどれも質素な佇まいのものが多い。建築雑誌をにぎわせているショーウィンドウケースのような住宅とは無縁のようだ。
建築家の中村好文さんが「Hut」(小屋)という表現を使っているように、私の設計する住宅を当面、「・・・小舎」と呼んでみることにしたい。南伊豆の住宅をつくったときに「杉小舎」(すぎごや)といった表現を思いついたのだが、それは私にとってかなり普遍的なものになりそうな気がしてきた。
また、小舎的建築は伝統工法による建築とも異なる。むしろ、セルフビルドに近い簡素な工法によるもの、クライアントが自由に後で手をを加えられるもののイメージに近い。
さらに、コンセプトはあるが、そのコンセプトが表面に現れないということも重要である。コンセプトを見せびらかす建築は、すぐに古くなってしまう運命をもつ。

小舎的な建築とは、たとえば、サツマイモをつかったお菓子を考えるとすると、石焼き芋をつくるように、素材を活かしながら最小限の調理法で完成させることと言ったらよいだろうか。サツマイモをペースト状にして、様々な香料を加え、かたちを整え、最後にトッピングを考えて完成させるようなスイーツ感覚のお菓子ではないという感じ、あるいはカステラのように最小限の素材を選択し、簡素に仕上げたお菓子(ポルトガルのパステイシュ・デ・ナータやスペインのビスコッチョといったお菓子)といったような感じである。
見かけは簡素でも、飽きが来ない「小舎」的建築。それはメディアには騒がれそうもないが、そこに住まう住人にとっては心地のよい住宅であるに違いない。

*パステイシュ・デ・ナータは日本で以前、エッグタルトとしてはやったお菓子。しかしこれはポルトガルのパステイシュ・デ・ナータとは全くの別物である。マカオ経由で日本に入ったせいで、かなり変化したらしい。パステイシュ・デ・ナータはリスボンのパステイシュ・デ・ベレンというお店のものが最も有名。薄いパイ生地の中央にカスタードクリームが入った焼菓子で、パステイシュ・デ・ベレンでは常に焼きたてのものが食べられる。

*ビスコッチョは日本のカステラの起源と言われるスペインの焼き菓子。
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by kurarc | 2009-05-24 17:15 | archi-works
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