横浜KH-House 改修工事終了

横浜KH-Houseの外壁を中心とした改修工事が終了した。この住宅は、1997年に竣工した住宅で、2000年以前の仕事であるため、HPには掲載していない。私が事務所を開設してから初めて手掛けた住宅である。

竣工から13年が経過し、外壁の汚れや一部ヒビが入ったところもあり、全面的に補修し、外部の塗装をやり直した。また、木製のはめ殺しの建具廻りの塗装やシーリングのやり直し、バルコニーの木製手摺りや破風など木が現しになった部分の塗装のやり直しなども行う。

全て完了したあとの様相は、竣工時の姿を取り戻した感がある。11年ぶりにスペインやポルトガルを旅した後に設計したこともあり、色づかいなど、当時あまり意識していたつもりはなかったが、ポルトガルの都市建築の影響があることを改めて感じた。

この住宅の大きな特徴は、玄関までの贅沢な半屋外空間にある。(下写真最後)イタリアのボローニャの街に張り巡らされたポルティコ(ポルチコ)やフィレンツェにブルネッレスキが設計した捨子保育院の広場に面したポルティコのように、都市に接続する空間をつくったのだが、それは住宅を都市建築とみなしたことを意味する。

普通の住宅の場合、玄関の前は庭であり、それもひとつの都市と接続する手だてではあるが、この住宅ではあえて庭ではなく、「空間」(ここでは半屋外空間)とした。この空間は、内部の客間からの視線と共有できるようにプランニングされていて、いわば中庭のような緩衝帯としても機能している。こうした空間をつくることはコストがかかり、なかなか実現できないが、従姉妹の住宅ということもあり、受け入れていただいた。

これで、またあと10年は大丈夫だろう。

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by kurarc | 2010-05-21 20:24 | 建築活動記録