ブータンの建築構法

昨日、テレビをつけると、偶然にブータンの住宅建築をつくる場面が放映されていた。

驚いたことに、ブータンでは中国でいう「版築(バンチュー)」といわれる型枠をつくり、その中に土を入れ、人が搗(つ)き固めるという構法をいまだに維持している情景が映し出された。

こうした構法については、以前このブログでも紹介した太田邦夫先生の著書『エスノ・アーキテクチュア』に詳しいが、太田先生によれば、この構法は紀元前8000年ころのユーフラティス川上流域にみられるという。(ビゼ・ド・テールといわれ、ヨーロッパにも伝わった。)

つまり、いまだに中国やブータンでは1万年前くらいの構法で住宅を建設していることになる。なんと穏やかな時間の流れ方なのだろう。原発で慌てふためくどこかの国とは大違いだ。

ブータンのような近代化に遅れた国家が、今後どのようにグローバル化される世界の中でその幸福を最優先に掲げる国家哲学を継続させていくのか興味深いところである。

by kurarc | 2011-06-04 11:16 | archi-works