ヘレスとシェリー

最近購入を迷っていた『シェリー酒 知られざるスペイン・ワイン』(中瀬航也著、PHPエル新書)をアマゾンで購入した。

古本であるにも関わらず、値段が定価の3倍にも跳ね上がっていたこともあり、購入をずっと躊躇していた。購入したのは、ここ2、3年、家ではほとんど飲酒しなかったが、現在一週間に一回程度シェリーを飲むようになった。そのせいで興味がわいてきたことが大きい。

スペイン、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラでつくられる白ワインを日本(および英語圏)ではシェリー(酒)と呼ぶ。しかし、スペインでは「ヘレス」という。以前からこの音の差はいったいどこからくるのか疑問であった。

この本では、最初にそのことが記されていた。非常に簡単にいうと、スペインを侵略していたイスラム教徒(ムスリム)がこの酒のことを「シェリーッシュ」と発音していたこと。その発音をイギリス人が広めたことによる。(スペイン人は「シェ」の音を発音できないようだ)別名を「サック」とも呼び、シェークスピアなどの作品にも登場するそうだ。

この酒は、様々な人に愛されることになる。日本で有名なのは吉田茂元首相や俳優の松田優作が愛飲していた酒だということ。そして、もっとも有名なフレーズが、同じくシェリーを愛飲していたペニシリンの発見者、A.フレミングより生み出されることになる。

「もし、ペニシリンが人を病から救うのなら、シェリーは人を死から蘇えらせるだろう。」
  "If penicillin cures illness, Sherry revives the Dead."

by kurarc | 2012-01-21 10:57 | gastronomy