フィン・ユール 自邸と家具

フィン・ユール 自邸と家具_b0074416_2013178.jpg

フィン・ユール 自邸と家具_b0074416_21102062.jpg

デンマークを代表する建築家、家具デザイナーであるフィン・ユール生誕100年記念展が新宿のOZONEで開催されていたこともあり、役所廻りの帰りに立ち寄った。

今回は彼の椅子にすべて座れるとのことで、その座り心地を確かめるのに絶好の展覧会であった。またその傍らに彼の自邸の巨大な模型(上、写真)、図面(上の下、断面図、屋根架構がわかる)が用意されていたこともあり、彼の家具と建築の両方を楽しめるまたとない機会であった。

彼の椅子は座り心地がよいことで有名であるが、代表作と言えるペリカンチェア(下の上、写真)は以外と座り心地はよいものではなく、座ったときに包まれるような感覚を味わえるのはよいが、左右に手の置き場(アーム)がないため、窮屈な感覚も同時に感じられてしまう。

今回の最大の収穫は、自邸の模型と図面。29歳で設計したという自邸は、清潔感のある空間であり、彼の有機的な曲線をもつ家具と対照的である。導線上にかならず窓を配置するという工夫、つまり、歩く目の前に必ず外部の風景が眺められるような窓が配置されることで、室内と室外の連続した関係をつくり、それ以外の無駄な形の遊びを極力排した簡素な建築は、フィン・ユールの理知的な感性を象徴していると言える。

フィン・ユールの建築を多くは知らないが、家具よりもむしろ建築の方に興味をそそられた展覧会であった。

*椅子の中では、CHIEFTAIN CHAIR(酋長の椅子 下の下、写真)と呼ばれているものが座り心地がよかった。

*自邸にはゲストハウス棟やエントランス廻りの車寄せのための屋根など、増築案がいくつかあったが実現されていない。
フィン・ユール 自邸と家具_b0074416_20132494.jpg

フィン・ユール 自邸と家具_b0074416_20295328.jpg

by kurarc | 2012-02-09 20:14 | architects