映画『フラメンコ フラメンンコ』

映画『フラメンコ フラメンンコ』_b0074416_21141497.jpg

今日は打ち合わせまでに空き時間があったため、その間、映画『フラメンコ フラメンコ』を渋谷のBunkamura ル・シネマで観る。

ギター音楽が好きなため、フラメンコギターの曲はよく聴く。しかし、CDで楽しむことができないのは、フラメンコの踊り(baile バイレ)である。

この映画では21幕のステージが楽しめる。いわば、21のフラメンコのショーを連続して観ることができる音楽映画といった構成になっている。

なかでも興味をもったのは、4幕目のフラメンコピアノと16幕目に登場するハビエル・ラトーレによる振り付けの「エル・ティエンポ」(下 写真)。エル・ティエンポは音楽とバイレのみによる演出であり、ラトーレの弟子である女性舞踊手たちがシャープな舞踊を披露する。フラメンコのバイレは、その身体全身をまるでフラメンコの語源と言われるflama(フラマ 火、炎)の揺らめきのように蕩尽させる舞踊。地の声をくみ上げるようなcante(カンテ、歌)と、風のような響きのギター。それらは決して重々しくなることはなくするどい。

映画にどっぷりと浸かって、フラメンコの世界に入り込んでしまうのだが、監督のカルロス・サウラは最初に現実の世界から導入し、最後にまた現実に引き戻すことをもくろんだ映像を用意している。我々建築を営む人間にとって魅力的な映像であった。それは観てのお楽しみ。
映画『フラメンコ フラメンンコ』_b0074416_21143345.jpg


*映画のパンフレット内の監督ノートには、この21のショーが、生命の旅として構成されていると書かれている。誕生(子守唄)から、幼少期(アンダルシア音楽、パキスタン音楽、その融合)、思春期、成人期(重厚なカンテ)、死期、そして甦りへ。こうした構成には気づかなかった。
第1幕。歌は主題歌と言えるルンバ、「緑よ、お前を愛している」(VERDE QUE TE     QUIERO VERDE)はガルシア・ロルカの詩。「緑」とは愛する人のたとえだという。

by kurarc | 2012-03-16 21:45 | cinema