原風景へ

現在、居所、事務所を東京の三鷹市(または武蔵野市)に移す計画がある。

現在の居所に引っ越してから7年ほど経つのでかなり久しぶりの引っ越しとなる。
引っ越しを行うことのメリットは様々考えられるが、自分の住まい(内部)について考え直すよいきっかけになるということがあげられる。

日常はあっという間に過ぎ、身の回りの事物を顧みる暇はなかなかない。そういうときに引っ越しを決断することで、日常の事物を見直す視線が形成される。どうしてこんなものを持っているのか、とか、もっと簡素に暮らせないか、とか、生活を再構築するのに引っ越しはよい機会となる。

三鷹は私の生まれ故郷であり、最も安心できる土地である。自宅近くにジブリ美術館のような余計なものもできたが、やはり井の頭公園はいつ行っても落ち着く。生まれたときからの遊び場だからだろうか、植物や土の色、光、空気などどれもがなじむのである。それから、水。三鷹や調布など地下水を含む水のおいしさは忘れられない。

こう思い始めたのは、このブログを書き始めた2006年の頃からだ。大袈裟だが、自分の原風景を井の頭公園を中心とした土地に感じるようになった。鎌倉に住むようになったことがそうした発見に結びついたのかもしれない。しかし、不思議にも、ポルトガルやスペインのガリシア地方あたりにもなぜか原風景を感じるのである。(だからポルトガルに住むことになったのだろう。)それがなぜなのか未だによくわからない。

*三鷹が実の原風景ならば、ポルトガル、スペインは虚の原風景。夢の中の原風景が大西洋側のポルトガル、スペインのような感じか。

*1984年12月、初めて訪れたポルトガル、エヴォラの旧ユダヤ人居住区の居心地の良さが、ポルトガルを再度訪れるきっかけになった。

by kurarc | 2012-10-02 00:04 | 三鷹-Mitaka