ラクウショウ(落羽松)

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井の頭公園のお茶の水から写真を撮っていると、右側の池の岸辺に垂直に伸びた赤褐色の樹木が目についた。ここからの視点は子供の頃から何度も見ていると思うのだが、この樹木が意識の中に入り込んできたことはなかった。(上の写真では、左手の赤褐色の樹木)

樹木の名称は「ラクウショウ」、漢字では「落羽松」と書く。その名の通り、羽のような葉を持つ針葉落葉樹。水辺に適することから、井の頭公園には1936年に植樹されたという。

見ることと意識することの違いをこの樹木で実感したわけだが、多分、鎌倉に長く住んだことも影響して、鎌倉では見ることができない樹木が私の意識に立ち上がってきたのだろう。また、ちょうど紅葉している時季にこちらに引っ越してきたことも、この樹木を発見する契機になった。

紅葉した色がよい。今の季節、井の頭公園の池の景観にテンションを与えている。在来種ではないが、井の頭のような近代的な公園では、こうした外来種を適宜、植樹することによって、緊張した景観を生み出すことができるよい事例だと思う。

*写真のラクウショウがある水生物園は、40年ぶりくらいに入園した。昔の汚らしい感じとは異なり、よく整備されていた。こちらから見る景観もよい。井の頭自然文化園の入場券は本園とこの水生物園の二つが入場できて400円。当日券ではないから、本園には当日入らなくてもよい。

*遠くへ行かなくても、実はいろいろなことが学べるのである。この「ラクウショウ」すら名前も知らなかった。今後は、身近な事物と遠方の事物への感性のバランスをとらなくては。

*ラクウショウは、ここだけでなく井の頭の池の廻りに何本か植えられている。ボート乗り場入り口や、井の頭公園駅側、それに弁財天近辺など。井の頭公園の中で、この樹木は結構重要なポジションを与えられていることがわかる。子供の頃、ボート乗り場の前にいつもフワフワした落ち葉が舞っていたが、これがラクウショウだったのだと気づいた。

by kurarc | 2012-12-17 14:28 | nature