Archiscape


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by S.K.

建築が揺らぐとき、静まるとき

地震の話ではない。建築の建設中の話である。現在地下2階、地上10階、ペントハウス階3階の某企業本社の建築現場の監理のお手伝いをしている。現場に行くと、一日延べ1000段以上の階段を登ることになる。およそ200メートルの高さのビルを登って、降りていることと同じである。

すでに、お手伝いをはじめて1年が経過したが、私がこの現場に通い始めた時はまだ、地下工事の段階であり、それは想像を絶する世界であった。この建築は、地下工事を進めながら同時に地上へも建設して行くという特殊な工法で工事が進められていた。コンクリートも地上から地下へ向かって打つ、という逆打ち工法を採用していた。

このときの建築現場はさながら戦場の様相を呈する。様々な重機が現場の中を怪獣のように這い回る。地下工事が一段落すると、今度は地上の工事が加速される。1階1階コンクリートを打設していき、この12月に最上階のコンクリート打設が無事終了した。

つまり、建築に水平な床が整い、現場ではその床を気軽に歩くことができる環境が整備されたことになる。それまでは梁の上や鉄筋の上など不安定な床を歩かなければならない。危険も数多い。

建築の床が整うと、建築はいまだに建設中ではあるが、現場の中に落ち着きが現れ始める。「建築が揺らぐとき」とは、建築の床が整う以前の状態。「静まるとき」とは、床が整った状態のことを言いたかったのである。

建築の世界では、上棟式といって、梁、柱や屋根の下地ができた段階でお祝いを行うが、(木造では荒床まで敷き詰められる)我々建築に携わるものからすると、床が整った段階が最もふさわしく思う。

かつて経験したことのない現場をお手伝いしながら、改めて建築という世界の奥深さを実感している。300人という職人の方々と闘いの日々が続くことに変わりはないが、建築というものをいままでとは異なった視点から見直す貴重な時間を過ごしている。
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by kurarc | 2014-12-11 21:13 | archi-works
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