グレース・ケリー

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1982年、世界的な女優が二人、それも同時期に他界している。一人は、イングリッド・バーグマン。乳がんを長い間患い、その闘いもむなしく他界。もう一人は、グレース・ケリーである。彼女は、40メートルほどの崖の上から車ごと転落し、死去するという痛ましい死に方であった。

ふたりの面影は、なにか共通するものがあり、どちらももちろん魅力的だが、わたしはグレース・ケリー派である。バーグマンの声がわたしには受け入れられないのである。そして、ヒッチコックの映画『裏窓』、『ダイヤルMを廻せ』、『泥棒成金』の中のケリーはどれもチャーミングで、グレース・ケリーはわたしにとって映画の中のアイドルといってよい存在である。

ちょうど、銀座松屋で開催されている「グレース・ケリー展」に脚を運んできた。さすがにわたしのような中年男性はほとんどいなかったが、ケリーのファンであれば、この展覧会は見ておいた方がよいだろう。彼女の衣装から趣味の押し花、身につけていた装飾品などが展示されているからだが、そのどれもが彼女らしいものであふれているのだ。

衣装は確かに普通の女性では着こなせないような一流品であるが、かといって、そのほとんどすべては、以外とシックであり、品のよいもので、真の大女優(後にプリンセス)はこういうものを選択するのかと納得できたのである。

興味深かったのはブローチで、そのどれもが動物をあしらったものであり、可愛らしいものばかりであった。これも、自然を愛したケリーらしいコレクションであった。

ケリーを主人公にした映画(『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』)が2014年上映され、フィクションとして紹介されているが、彼女はモナコ公国に嫁ぎ、そのモナコの国家存続のために、フランスと板挟みになり、腐心したことは確かであろう。

わたしは、しかし、彼女は映画女優としての道を全うしてほしかったと思う方である。ファンとしてそのように思うのはあたり前のことである。

by kurarc | 2016-09-22 22:12 | cinema