浅井忠のグレ 『グレーの塔』

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池澤夏樹さんの本を渉猟している。今は、彼がフランス滞在時代に書いたものだ。最近のブログの話題はほとんど池澤さんの本からのものである。『異国の客』という本の中に、洋画家の浅井忠が登場した。わたしは高校時代、美術に興味を持ったとき、日本の画家でまず最初に好きになったのは浅井忠の写実画だった。高校時代の美術の教師に、誰に興味があるのか、と訪ねられた時、即座に「浅井忠」と答えたのを今でもはっきりと覚えている。

美大に進んでから、むしろ絵画から遠ざかるようになった。藝術というものに疑問をもつようになった。しかし、それから30年以上経ち、再び浅井忠に巡り会うことになった。彼がフランスへ留学をしていたこともすっかり忘れていた。最近は、絵画を落ち着いて鑑賞できるようになった。

彼の絵画、『グレーの塔』(上)の「グレー」は色のことではない。フォンテーヌブローの東の街グレ・シュル・ロワンの「グレー」であり、フランス語の発音に忠実に書くのならば、「グレ」なのである。浅井が二年間のフランスの生活の中で何を吸収していったのか、そして、帰国後、どのような成果をもたらすに到ったのか気になる。

今年も、フランスに関係した人々、フランスに影響を受けた人々から様々なことを学習する年になりそうである。

by kurarc | 2017-01-01 20:31 | art