Electioneering

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レディオヘッドの”OKコンピューター(20周年記念盤)”を相変わらず聴いている。ちょうど選挙運動が始まったが、このCDの中に"Electioneering"(選挙運動)という曲が入っている。選挙運動を皮肉った曲だ。政治が最も哀れに思える時期がこの選挙運動中である。「都民ファーストの会の・・・」と盛んに叫ぶ無能な(有能な)人たちが溢れ出している。

レディオヘッドのOKコンピューターの中の曲の英単語、フレーズは示唆に富む。過激な詩ばかりなのだが、彼らは、この過激な詩を我々に届けるために音楽(音)に細心の注意を払っている。そのことにある意味で騙される訳だが、表現とはそもそもそのようなものだろう。ダ・ヴィンチも過激すぎてクライアントを随分と失ってしまった。逆に、ミケランジェロは過激な教皇というクライアントから逃げまとった。

彼らの英語の詩を眺めていて、今回特に気になったのは、"Floor collapses"という英語。"Let Down"という曲の中に現れる。訳者の今井スミさんはこれを「崩壊する床」と訳しているが、今井さんの訳(OKコンピュータすべての詩の訳)には感心する。これを、単に「壊れた床」などと訳しては現代という時代に響かない。「崩壊する床」と聞くと、9.11を頭に思いを描いてしまうが、この曲が書かれたのは、9.11以前のこと。彼らの詩は予言に満ちている。繰り返すが、ここで彼らの音楽は、過激な手紙を綺麗に包み込む封筒なのである。(ショパンのたとえで有名な、「花束の中の大砲」大砲=詩、花束=音楽のようなCDということである。)


by kurarc | 2017-06-29 23:42 | music