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by S.K.

映画『眠るパリ』とル・コルビュジェ「ヴォワザン計画」

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今橋映子さんの著書『<パリ写真>の世紀』(白水社)の中に、ルネ・クレール監督のサイレント映画『眠るパリ』(1923)とル・コルビュジェの「ヴォワザン計画」(1925)を対比するような文章があり、興味深く読ませていただいた。

コルビュジェがヴォワザン計画を策定したその時代のパリとはいかなる都市であったのか、ちょうどこの映画『眠るパリ』は、その同時代のパリの情景を捉えている。映画自体は、ある博士が発明した光線によって、パリが一時静止してしまう(眠る)という内容の映画だが、その静止が溶けると、パリの活気ある都市が息を吹き返す。

コルビュジェがヴォワザン計画をつくった意図がその情景を見ると理解できるのだ。当時、パリはすでに車で混乱し、いわゆる公害を発生させていた。コルビュジェはそうしたパリの中心(セーヌ右岸)を一掃し、超高層ビル街を計画。ビルとビルの間には緑を植え、パリに清らかな空気をもたらそうとした計画を発表することになる。

こうしたモダニズムの思考による計画の欠点(全てを無にすることから始めるという欠点)は明らかだが、コルビュジェにも、考えを方向付けた理由が存在したことは確かなのである。もし、現在、このような計画を再度実行しようと言い出したら、その建築家は時代錯誤と狂気の沙汰であると相手にされないだろうが、当時としても、こうした計画の意味することを熟慮したならば、愚かな計画であることは理解できたはずである。

それにしても、映画『眠るパリ』は貴重な映像である。特にエッフェル塔からの映像が、ルネ・クレールのアヴァンギャルドとしての感性を見事に表現している。

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by kurarc | 2017-07-12 21:03 | architects
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