小説『ダイヤモンド広場』
日本では以前、この小説の翻訳が出版されているが、それはフランス語訳からの重訳であり、今回、初めてカタルーニャ語から直接訳されたことになるという。ガルシア・マルケスは、スペイン語とカタルーニャ語の両方で本書を読んでおり、著者のマルセー・ルドゥレダにもわざわざ会いに行き、お互いの共通の趣味である園芸について、話を弾ませたらしい。
この小説の舞台であるダイヤモンド広場のあるグラシア街についても田澤氏はふれている。グラシア街はバルセロナ旧市街とグエル(カタルーニャ語でグエイ)公園の中間、旧市街の北側に位置する。もともとはバルセロナ郊外の村であった地区であり、19世紀後半、バルセロナ拡張とともに、バルセロナに編入された地区であるという。低層の住居が残る落ち着いた地区のようで、現在でも若者に人気のある地区のようだ。
わたしが初めてバルセロナを訪れたのは1984年だが、その1年前、ルドゥレダはジロナ市の病院で死去している。1982年版の『ダイヤモンド広場』がスペインで出版されているというから、この小説の影響を受けて、映画『エル・スール』も誕生しているかもしれない。(もちろん、エリセは1982年版以前のものを読んでいるのだろうが)
この小説はスペインとスペイン内戦に興味を持つものにとって必読の小説であろう。
*スペイン語とカタルーニャ語にどれほどの差異があるのか、わたしは知らないが、近いうちにその差を学んでみたくなった。カタルーニャ語(ガリシア語も)で「おはよう」は「ボン・ディア」。ポルトガル語と同じである。そういえば、本日、ポルトガル語版のタブッキの小説『レクイエム』を注文するため、紀伊国屋書店洋書部に連絡する。イタリア人のタブッキがわざわざポルトガル語で書いたという小説を原書で読んでみたいと思ったためである。
by kurarc | 2019-08-23 00:21 | books