音楽の未来

今年は音楽を理論的に考察するような時間を多くつくった。その中で、バークリー・メソッドという20世紀に登場した音楽を機能的に理解するマニュアルといってよいものの批判的読解を菊地成孔さんらから学んだが、我々のまわりを見渡すと、音楽は相変わらずクラシックからポピュラー音楽、ロック、ジャズ、ダンス音楽(ループ音楽)など様々な音楽が共存している。この中で、どういった音楽が生き残り、また死に絶えていくのだろう。

少し前にICUや東京外国語大学の学園祭に遊びにいったが、学生たちが最も盛り上がっているのはダンス音楽であった。特別なコード進行もないような音楽でも、ダンスと共存することで退屈することはない。また、わたしはやらないがゲーム音楽も若者たちに浸透していると思われる。先日、ラインホルト・フリートリヒ氏のトランペット・リサイタルを聴いたが、その圧倒的な音量と技術の演奏に感動し、久しぶりにクラシック音楽の良さも味わった。わたしの中でも、全く異なる音楽は共存している。

音楽は個々人によって、その必要性、重要性は異なると思われるが、太古に音楽は呪力、神事であったことから、娯楽へと変化していったように、今後、何かに劇的に変化する可能性があるかもしれない。もしかしたら、巨大な政治力を持つような危険な芸術になるのかもしれない。もちろん、そうならないことを祈るが、音楽には注意深く接しなければならない危険性があることは、バークリー・メソッドを学んでよくわかった。心地よいと思われる音楽は、そのように仕組まれたものであるということ、また、心地よいという感覚も疑わしいものであるということである。

音楽の形式の変化、意味の変化など、興味は尽きないが、音楽の未来を見据えながら音楽をつくっている人、音楽を演奏している人、そのような人に会ってみたいものである。



by kurarc | 2019-11-28 00:24 | music