建築における「3面交点」について

一般の方々はあまり注意しないと思うが、建築の中では「3面交点」となる部分がある。一つの住宅であれば、およそ2、3箇所は「3面交点」の部分が生じる。軒先きと外壁がぶつかったところ(建築用語で「取合い」という)や、バルコニーの壁状の手すりと外壁との取合いなどである。水平部分と2方向から垂直部分が重なり、3方向から立体的に交わる部分である。


こうした箇所は、ピンホールが生じやすく、当然、処理を誤ると雨水が浸入し、雨漏りの原因となる。優良な工務店(施工者)は、こうした弱点となる部分をよく心得ていて、念入りに止水処理を行う。我々のような建築士も、こうした箇所がどのように施工されているのかを検査することが、現場監理では必須となる。


逆に言えば、無闇に3面交点を数多くつくるような設計も避けるべきなのである。近年、木造住宅においてもデザインが幾何学的に処理され、例えば木造における水(雨)の流れを無視したような凹凸の激しい設計が数多く見受けられる。こうした設計は、いわゆる造形(デザイン)を優先し、肝心な水(雨)の流れを防水処理によって強引に食い止めようとするデザインに他ならない。


止むを得ず大胆なデザインが必要な場合は、こうした水(雨)の流れを徹底的に分析して、弱点となるような箇所をあらかじめ把握し、止水処理を念入りに行わなければならない。工務店任せにすると後でクライアントの方に大きな迷惑をかける場合があることを肝に命じておかなければならない。


by kurarc | 2021-05-23 18:35 | design(デザイン)