倉俣史朗さんの『仕事集』

先日、この3年間に竣工した主な仕事の小冊子をつくるため、写真などをまとめて、印刷に出しました。今日、届く予定なのですが、タイトルをどうしようかと悩み、結局、WORKS 2002-2005としました。先月、あるプロデュース会社の仕事で、簡単につくったパンフレットには、仕事集というタイトルをつけたのですが、なにか不自然な感じが残っていて、結局、WORKSという英語のままのタイトルを選択しました。
今日、深夜たまたま何気なく本棚を見ていたら、倉俣史朗さんの本が目に入りました。なんと、『倉俣史朗・仕事集』というタイトルが使われていたのです。仕事集という言葉が頭にあったのは、この本の影響だったようです。倉俣さんは、WORKSの訳に「仕事集」を選択していました。作家性の強いと思われる倉俣さんが、「作品集」というタイトルを選択していなかったということは、一考に値することだと思われます。
それはさておき、25年前に出版された倉俣さんの「仕事集」は、今見ても新鮮です。写真はすべて白黒なのに、中に挿入されているトレペのスケッチやアクソノメトリック図はカラーだったり、壁の椅子では、わざわざヌードモデルを使って椅子に座らせて撮影されていて、わざと歪んだ写真にしています。家具も床を傾けた状態で撮影されていたりと、いろいろ不思議なことだらけです。しかし、なにか強い主張が感じられます。
きっと、白黒写真に統一したことで、コンセプトを浮かび上がらせることに成功しているからでしょう。無駄な情報を制御して、倉俣さんの思考の残像のみが残る、希有な「仕事集」です。

by kurarc | 2006-04-25 00:53 | design