2006年度 日本建築学会大会(関東)参加

今日は、朝9時から日本建築学会大会のパネルディスカッションを聴講してきました。午前中は、DOCOMOMOの委員の方々による「モダニズムから70年代へ」と題するパネルディスカッションで、今まで1970年にまで限定されていたモダニズム建築を70年代まで広げていくことの可能性、問題点などについてそれぞれのパネラーに問うていくというもの。

パネラーの一人に建築家の黒川紀章さんが参加されていました。黒のサングラスをかけ、ただ者ではないという雰囲気を漂わせながら、自ら歩んできた50年代後半からの建築論を明快に語ってくれました。黒川さんによると、1958年に丹下健三さんの事務所にいたとき、ル・コルビュジェから手紙が来て、私の時代は終わったということを暗示させるスケッチ(親から子へとバトンを渡すようなイメージのもの)が書かれてあったのを見たとのこと。これを受けて、自分で新しい建築の在り方を考えざるを得なかったということです。

午後からは、「リノベーションの可能性」と題するシンポジウムに参加。特に、パネラーの五十嵐太郎さん(建築史、建築批評家)のリノベーションに関する理論的アプローチ、建築的な意味への考察は興味深く、たとえば、リノベーション(建築の修復)は、もとの機能とは異なる建築に変えることが大半であり、そのことは、建築のかたち(形態)と機能の切断(バーナード・チュミという建築家の言葉)を意味するということ。
つまり、機能に従ったかたちを当初建築家は意図(デザイン)していたかもしれないが、リノベーションされるときは、その意図が裏切られるということ。建築は、都市の中で建築家の意図とは異なる次元で生き延びることになる訳であり、建築の在り方そのものをリノベーションは新たに問いかけることになる、ということです。

大会の会場となったのは神奈川大学で、最寄り駅は東横線の白楽駅。神奈川大学までの道の途中に、有名な六角橋の商店街があり、写真(下)に撮ってきました。パリのパサージュ+バザールを思わせる路地状の商店街で、洋風トラスの屋根にはトップライトがついていて、なかなかおしゃれでした。昔ながらの店構えが多く、鰹節専門店も発見。

今日は朝からしっかり勉強させてもらい、帰宅は夜の8時を過ぎていました。
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by kurarc | 2006-09-09 21:24 | archi-works