鈴木博之さんの著作から-01 

来年の2月にいよいよJIAの保存問題委員会の東京大会が東京大学で行われます。保存に関して学習しだしてから日の浅い身であるため、どのような議論ができるのか今から心許ないのですが、保存に関してもう30年以上議論を続けておられる鈴木博之さんの著作を紐解くと、様々な問題が凝縮されて論じられており、改めて感心させられます。
やはり、なんといっても陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地一号館の保存要望書を建築家の磯崎新さんとたった二名の名前で提出するようなラディカルな行為を東京大学教授として行ったことに対し、敬意を感じずにはいられません。
鈴木さんの著作『現代の建築保存論』の中に、建築保存とは、建築の存在論=保存論であり、建築の存在への意義づけとしての設計論と相俟って建築論は構成される、ということが書かれていますが、私もそのように思います。この二つの建築論が同等に議論されなければ、建築の文化は育っていくことはないと考えられます。
保存とは保守的な行為ではなく、記憶から喚起される創造性+想像性を養う場として定義されるもののはずです。

by kurarc | 2006-12-12 22:02 | conservation design