鎌倉と伊豆大島 谷川健一の青(おう)の島論

今日、七里ガ浜の現場へ行く途中、七里ガ浜沖に伊豆大島がきれいに浮かんでいた。鎌倉に住むようになり、以前から気になっていたのはこの伊豆大島である。鎌倉の海岸に立って伊豆大島を眺めると、ほぼ正面に見えてくる。さらに、左に三浦半島が、右には伊豆半島が伊豆大島をつかもうとするかのように伸びている。これだけ象徴的な島であるから、鎌倉時代から呪術的な信仰の対象になっていたり、鎌倉にとって特別な意味をもった島であったに違いない、と勝手に思っている。

20年以上前に沖縄に住んでいたときに、谷川健一著の『常世論』を読んだのだが、この著作の中に登場する青(おう)の島の意味について、この伊豆大島を見て記憶が蘇ってきた。谷川によれば、日本本土の海岸に点在する「青」という地名をさぐる旅のなかから、「青(おう)の島」は常世の原型であるという仮説を導き出す。また、「青の島」は死者を葬った島であるという。「青の島」の「青(おう)は「大島」の大(おお)と表記されて日本各地に広がっている。伊豆大島は、鎌倉時代に死者を葬った「青の島」だったのであろうか?
まだ、伊豆大島には行ったことがないのだが、行くことがあれば谷川の仮説を検証できるような手掛かりを探す旅をしたいと思っている。

by kurarc | 2007-11-20 23:30 | 鎌倉-Kamakura