中村好文さんのセミナー「普段着の住宅」へ

昨年に引き続き、東京ガス主催による建築家中村好文さんセミナーを聴きに行く。昨年と同じ表題であったので、また同じ話かと思ったのだが、前半はアメリカの住宅の話。フィリップ・ジョンソンの自邸である「ガラスの家」に行った話と、ケース・スタディ・ハウスの話。後半は昨年同様、長野の自給自足の小屋の話であった。

フィリップ・ジョンソンの自邸が今年から一般に公開されたそうで、所員とともに「ガラスの家」を観に行ったとのこと。中村さんはこのワンルームの住宅にかなり興味があるらしく、家具のみで仕切られた点、またミース・ファン・デル・ローエによるファンスワース邸にはない住まいの根源を見据えている住宅であることを力説されていた。

また、次に住宅を考えるキーワードとして二つの言葉を持ち出し、一つはスウェーデン語の「エンケル」(スペルはわかりません)、もう一つは英語の「パティーナ」(patina)。「エンケル」は普通でちょどよいといった意味で、「パティーナ」は古色あるいは経年変化による味わいといった意味とのこと。この二つは中村さんが住宅に求めるコンセプトそのものだという。

「パティーナ」という発音を聞くと、これはもしやポルトガル語?かと思い、帰ってからポルトガル語辞典を調べてみると、全く同じスペル、同じ意味の単語を発見した。(アクセント記号が付くので正確には同一ではない。ラテン語起源かはわからないが、古色という意味の単語がヨーロッパの大陸から伝播し英語化されたことは間違いなさそうだ。)中村さんの求める住宅は私も同感だが、普段着の住宅というのもそう簡単にできるものではない。来年の私自身の課題のひとつとしたい。

by kurarc | 2007-11-29 22:29 | archi-works