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2017年 04月 01日 ( 1 )

建築家 ルシアン・クロール

建築家のルシアン・クロール氏(1927ー)は、現在どのような仕事をしているのだろう、と最近頭に閃いた。インターネットでたまたま彼の名が登場して気になり始めたのである。『サスティナブルな未来をデザインする知恵』(服部圭郎著)の中に、彼のインタービューが掲載されているということで、早速手に取った。

実は、28年ほど前、大学院生だったわたしは、ルシアン・クロール夫妻を他の大学院生らと共に東京を案内したことがある。研究室のF先生からの「命令」で、ルシアン・クロールさんが東京のスラム街に興味を持っているようだから、山谷の街に案内するようにとのことであった。わたしは前日に英文を準備して、クロールさんに拙い英語で案内をするはめになったのである。知的で、冷静沈着な物腰のクロールさんと、明るい奥様が対照的だったのが印象的であった。案内の最後の集合場所だったホテルに着いた時に、クロールさんはコーヒーでなく、オレンジジュースを頼んだのも印象に残っている。

インタビュー記事を読むと、その過激な言動には驚いてしまう。昨今の雑誌を賑わすような建築に異議を唱えているからである。彼は、「コンセプト」や「方法論」といった「普通の」建築家たちが好んで使う言葉に嫌悪を示す。(つまり、それは、現在の日本の建築学科の大学教育そのものを批判していることになる)それが、まさに彼の「コンセプト」なのだが、建築家たちが一方的にデザインをして建築を建設するのではなく、住民参加を原則として、建築環境を一つ一つつくりあげていくという方法を模索している。

わたしは、クロールさんにお会いした時、既にクロールさんのルーバン・カトリック大学(ベルギー)の仕事を見学していたので、生意気にもクロールさんに「あなたの仕事は難解で理解できなかった」といったような会話をした記憶があるが、その時のクロールさんの「なぜだ?」といった表情が今でも忘れられない。

わたしも建築をつくる時にはなるべくクライアントの方々のやりたいことに耳を傾けるようにしている。それを手掛かりとして、わたしとの応答の中から形を見出していく。クロールさんのようにラディカルにはできないが、一つ一つ異なる建築をつくっている背景には、彼との出会いが大きいのかもしれない。

ルシアン・クロールさんは、今年で90歳になる。きっと、今でも元気に建築に取り組んでいることだろう。
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by kurarc | 2017-04-01 20:12 | architects


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