金沢へ

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昨年につづき、連休を利用して金沢へ。東京の人間は外出を控えるようにというお達しがあったが、控えている人間が多いことから、公共交通機関は空席が多く、むしろ安全な旅ができる状態であった。

今回は、金沢という都市の全体を把握することに重点を置いた。浅野川界隈、犀川界隈から、金沢城、兼六園、そして西の片町界隈など、猛暑の中を歩いた。

金沢という都市は江戸期から現代にかけての建築博物館的都市という様相であることを改めて感じた。都市も決して小さくはない。すべて歩いて見学するには無理がある。西回り、東回りのバスを利用して、効率よく回ることが必要である。

まずは、泉鏡花記念館(上写真)を見学することははずせなかった。彼の暮らした浅野川界隈を感じられたのは収穫であった。主計町、暗闇坂、あかり坂など今も風情のある空間が残っていた。

金沢城(下写真 上)の菱櫓には驚かされた。80度と100度の菱形をした木造建築の収まりは通常考えられない。柱、梁の仕口は複雑を極める。金沢城の水平性にも興味をもった。五十間長屋など日本的な空間というより西洋的なスケールを感じるもので、わたしは、スペインのエル・エスコリアル宮殿が頭の中に浮かんだ。

最終日に、金沢の海寄りに建設された金沢海みらい図書館(下写真 下)を見学した。建築もよかったが、3階に設えられた日本海情報コーナーの蔵書の充実ぶりに関心した。中国、韓国関連の書籍や、沖縄、北前船関連の書籍など海で繋がる地域、国の文化を網羅した書物が収蔵されていた。こうしたコーナーは東京の図書館ではお目にかかれない。日本海というインターナショナルな文化の切り口を探求することは、太平洋側に住む人間には一種の盲点であり、興味をそそられた。

今回の旅は、金沢を読み解くときに、日本海文化という大きな視点で俯瞰することの重要性に気づかせてくれた旅であった。

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# by kurarc | 2020-08-10 22:28 | 金沢-Kanazawa

イギリス料理はまずいのか?

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初めてイギリスの地を踏んだのが、1984年6月であった。ヨーロッパの6月は日本で言えば5月。新緑の中のロンドンをリンゴをかじりながら歩いた。小ぶりのリンゴが美味しくて、すっかりロンドンが好きになった。

その頃、確かに食べるものには困った記憶がある。バルではプラウマンズ・ランチ(農夫のランチ)を頼んだが、チャイニーズレストランでよく食事を済ませていたと思う。たいしたこともないサンドイッチが1000円くらいの値段でびっくりした。しかし、その後、1999年にロンドンを訪ねた時、エスニック料理屋のレベルの高さに驚かされたし、街の中心に回転寿司屋があるのにも驚いた。イギリスの食文化も随分とレベルが上がったと思った。

最近、映画の中に出てくるウェルシュレアビット(チーズトースト)の美味しさに驚かされて、イギリス料理が気になり始めた。今日、本屋で『イギリスの家庭料理』(砂古玉緒著)を購入した。もちろん、ウェルシュレアビットのレシピが掲載されていたからである。

全体的に地味な料理が多い。その名の通り、家庭料理というものがならんでいる。気取った料理はなに一つない。そういった意味ではポルトガル料理と通じているものがあるような気がする。労働食の延長上にある料理といった感じがする。

イギリス人はパンにマーマレードを塗ることが定番らしいが、マーマイトというビールを原料とした発酵調味料もパンに塗って食べるのだという。これは初耳である。今度、どこかで見つけたら購入して試してみたい。イギリス料理は決してまずいものと決めつけられるものではなさそうだ。

# by kurarc | 2020-08-08 15:52 | gastronomy(食・食文化)

韓国映画『我が心のオルガン』

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詩人、長田弘さんの著書『なつかしい時間』の中で紹介されていた映画である。久しぶりに韓国映画を観たくなった。

山奥の学校に新人教師が赴任してくる。その学校の中で繰り広げられる二つの恋の物語。映画の導入部からはあまり期待できなかったのだが、映画が進むにつれて、映画の世界に引き込まれた。子供たちののびのびとした描かれ方、先生たちのユーモラスな描き方、コメディともとれるようなシーンが多いが、その中で、一人の少女の演技が光っている。

その少女は、ホンヨンを演じるチョン・ドヨンである。映画の中では17歳でありながら小学校に通う役を演じる。彼女とカン先生を演じるイ・ビョンホンの対話がこの映画の中心となる。そこにコニー・フランシスのLPレコードが二人とからんでくる・・・

1960年代という時代設定。わたしの子供時代を描いたような映画であったこともあり、なつかしさがこみ上げてくる。この映画では、主人公は、チョン・ドヨンといってよいだろう。貧しい家庭に育った少女を無理なく、自然に表現していて、演技派の女優であることを感じさせる。わたしは初めて彼女の演技に接したが、韓国では有名女優のようで、数多くの賞を受賞している。彼女の出演する韓国映画は必見であろう。

*チョン・ドヨンは初めてではなかった。『シークレット・サンシャイン』で彼女を観ていたのである。彼女の出世作といえる映画である。あの熱演は、やはり、8年ほど前のこの映画でも同じであった。


# by kurarc | 2020-08-06 23:44 | cinema(映画)

ウェルシュ・レアビット(Welsh rarebit) ウェールズのチーズサンド

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映画『Phantom Thread』の中で、主人公がウェルシュ・レアビット(Welsh rarebit)を頼むシーンがあった。以前のブログでラプサン・スーチョンといった紅茶を紹介したが、こちらも忘れていたので取り上げた。

わたしはまだ食べたことがないし、初めてこのサンドイッチを知った。Wikipedia(上画像)によれば、チーズ、バター、ビール(エール)、卵黄、ウスターソースを混ぜたソースをつくり、パンに乗せて焼いたもの。チーズはチェダーチーズが推奨されるというが、ランカシャーチーズの方が美味との意見もあるとのこと。

いわゆるチーズトーストだが、かなり凝ったチーズトーストと言えるのではないだろうか。トマトソースではなく、ビールや卵黄、ウスターソースを使うあたりは英国らしい。今度つくってみることにしよう。

パンはなにがよいのだろう?

*早速、つくってみたが、このチーズトーストは相当美味である。単なるチーズトーストを食べることができなくなる。チーズの溶かし方をうまくやる必要がある。ビールの量に注意が必要。

# by kurarc | 2020-08-05 17:03 | gastronomy(食・食文化)

りぶうぇる練馬ディサービスセンター(19) 足場撤去

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昨年から進めていたディサービスセンターの足場が撤去された。今月、竣工を迎える。現在、内装工事の最後の仕上げを急ピッチで進めているところである。

住宅の坪単価と同じ価格でディサービスセンターをつくっている。これでもエレベーターはついているし、ユニットバスは計5カ所設置されている。かなりドライな設計とならざるをえなかったが、コストありきであるため、止むを得ない。

今回は、以前にも書いたが、近隣の方々に恵まれた。未だになにひとつクレームを言ってくる方々がいない。騒音などかなり激しかったと思うが、その苦情もなかった。本日、たまたまお隣のご主人とお会いした。相変わらず文句ひとつ言ってくるわけでもなく、ありがたかった。

あとは、外部のアルミ庇を設置、内部は最後の器具設置、床のタイルカーペット敷きなどが残っている。月末には様々な完了検査を受け、いよいよ竣工となる。

# by kurarc | 2020-08-04 20:53 | りぶうぇる練馬ディサービスセンター

『フィールドガイド 日本のチョウ』

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『フィールドガイド 日本の蝶』という携帯用の図鑑を購入し、蝶を眺めている。

最近、わたしの住まいの近辺で蝶の飛行を目撃することが少なくなったと感じている。子供の頃数多く目撃できたモンシロチョウやクロアゲハ、カラスアゲハなどまだ一度も見ていない。

住まいの近辺は、井之頭公園をはじめ、東京の中では自然に恵まれた地域であると思われるが、蝶が生息できる環境が整っていなくなったと言えるのかもしれない。

このガイドに書かれていたが、蝶は自然環境の指標として優れているのだという。植物や野鳥以上に減少する傾向が早期に表れるからである。蝶が数多く飛来し、飛行している環境は自然が豊かである証なのである。

それにしても、蝶の翅の色彩は美しい。蝶は飛行するときに翅を開いたり閉じたりするわけだが、その際、色彩の豊かな表と地味な色彩の裏が交互に反復されることになり、色彩のフラッシュが現れる。それを蝶は見分けることができるようで、オスはすぐにメスだと認識できるようだ。

以前に書いたが、わたしの高校の校章はオオムラサキという国蝶であった。そのオオムラサキが飛行している姿をわたしはまだ見たことがない。この夏にぜひ一度見てみたいと思っている。

# by kurarc | 2020-08-01 20:59 | nature(自然)

Perfume 21世紀の舞姫たち

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中田ヤスタカ氏の曲に興味を持ち、楽譜集などを買って眺めている。彼の曲はテクノでありなが、非常にポップであり親しみやすいことがその特徴である。さらに、歌詞の曲への取り込み方に特徴がある。どのように歌詞を歌っているのか聴き取れないようなものも多い。

その曲を振り付けに合わせて表現しているのがPerfume(写真はHPより借用)という広島出身の女性3人によるユニットである。ほぼコンピューター上で打ち込まれた曲と歌に合わせて振り付けを行いながら音楽を表現する。その身体の動きは繊細でシャープであり、凡庸なアイドルの振り付けとは異なる。この振り付けもMikiko先生と彼女たちが慕うダンスの先生のオリジナルである。振り付けは独学だと言われ、アメリカ留学時にアメリカ人のダンスを知り、これを日本人ができるものではなく、異なる表現を模索した結果、行き着いた身体技法と言える表現である。

Perfumeというユニットが興味深いのは、こうした背後から支えてくれるアーティストたちの発信装置のようになっていることである。つまり、彼女たちにはよい意味で自己表現というものがなく、柔軟で、従順な表現者に徹しているのである。

中田ヤスタカ氏、あるいはMikiko先生が自ら演じていたら、これだけヒットするような音楽にはならなかったはずだ。Perfumeという3人の個性的な女性たちのオーラは確実に存在している。そのオーラがヒットへと導いたのだと思うが、オーラにいやらしさがないのがよい。表現者という立場で淡々と仕事をこなしていく職人のような舞姫たち、そうしたあり方に共感が集まっているような気がする。

彼女たちはすでに30歳を超えている。残念ながら、このオーラはあと数年で消えていくのかもしれない。(彼女たちも結婚するのだろうから)ここ数年が彼女たちにとって重要な時間となるに違いない。

*いろいろ調べてみると、彼女たちは彼女なりに振り付けを精査し、創作に関わっているようで、単にMikiko先生の振りをマスターしているだけではないようだ。Perfumeというユニットによって完成する音楽といえるのだろう。

# by kurarc | 2020-07-29 21:32 | music(音楽)

『ファーブル先生の昆虫教室』(文:奥本大三郎、絵:やました こうへい)

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ファーブル昆虫記を子供向けの絵本にしたものに、『ファーブル先生の昆虫教室』(文:奥本大三郎、絵:やました こうへい)がある。童話を読むように昆虫について学ぶことができる。最近は子供向けの書籍のコーナーへ足を運ぶことが日課になってしまった。とくかく、良書が多い。今の子供達は幸せである。学ぶ意欲があれば、どのような分野でも良書がそろっているからだ。

この本の中に、「ホタル」に関する章があった。ホタルには飛ぶホタル=ファイアフライと地面にいるホタル=グローワームという種類があることを知った。また、ホタルは卵も幼虫もさなぎのときも光るのだという。

昔の日本人はホタルの光で本を読んだ、などと言われるが、それもまんざら嘘ということではなく、たとえば、南アメリカに生息するヒカリコメツキというホタルは、体も巨大で、字が読めるくらいに明るくなるそうだ。南アメリカの人はそのホタルをサンダルにつけて夜道を歩いたというくらいなのだとか。

日本ではホタルの光の点滅時間も関西と関東では異なり、、関西では約2秒間隔、関東では約4秒間隔だという。

この本の中に、ファーブルの使った机の写真が掲載されているが、本を広げただけでふさがってしまいそうな小さな机である。パソコンもない時代、ファーブルはこの小さな机で昆虫記や植物記を著した。生きた昆虫を観察し続けたファーブル、子供の心を持ち続けた先達であり、真の科学者の一人だったと思う。

# by kurarc | 2020-07-28 18:03 | books(書物・本)

雲をつかむ 『雨の科学』(武田喬男著)

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8月も間近だというのに、梅雨が開けない。普通は7月20日前後に梅雨は明け、空は快晴の時期のはずだ。高校や大学生の頃は、いつもこの時期には夏山に出かけていたのだが。

特に今年は豪雨に見舞われている。一体、雨とはなにか?一般人はこのことをきちんと説明できるものはいないのではないか。さらに、雲とはなにか・・・

『雨の科学』(原本は『雨の科学 雲をつかむ話』と題された)は、一般人にそうした疑問を解消できるように平易に説明してくれる本である。たとえば、雨粒の大きさはどのくらいか?これは、半径が0.1ミリから3ミリなのだという。そして、不思議なことに雨粒は半径3ミリ以上になることはほとんどなく、それより大きくなると、分裂してしまうのだそうだ。また、雨粒の落下速度は、もっとも大きい半径3ミリの雨粒で秒速9m程度。よって、肉眼でその大きさ、かたちを確認することは不可能となる。

それでは、雨粒はどのようなかたちをしているのか?よく漫画の中に描かれるように、らっきょうのようなかたちではない。饅頭のようにつぶれたかたちであるという。雨粒が落下すると、重力と上向きに空気の抵抗力が働くために、饅頭のように変形しまうということである。

今年の豪雨の説明のなかで、”線状降水帯”という用語がよく報道されたが、これは、積乱雲の仕業なのだが、どうも積乱雲はその周辺に積乱雲を発生させやすいメカニズムをもつものらしい。積乱雲の周辺で積乱雲が複製されてしまうということである。

雨という最も日常的に経験する自然現象について、そこから多くの科学的知見を得ることができる。それでは、雲はどうか・・・とその謎に対する興味は広がっていく。未来のいつか、気象をコントロールできる日が来るのかもしれない。そのとき、豪雨という現象はなくなっているのかもしれないが、そう簡単にできることではなさそうだ。

著者の武田氏は、東京大学理学部物理学科の出身である。遡ると、寺田寅彦、中谷宇吉郎の後輩といえるような科学者である。本書を著していた頃、武田氏は白血病を患い、その病床において原稿を用意したという。身近の自然現象を誰にでもわかりやすいく解説した本書は武田氏の最期の著作となった。

# by kurarc | 2020-07-27 19:18 | nature(自然)

トランペットの練習

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連休を利用して久しぶりにカラオケでトランペットを練習した。カラオケに行くのをずっとひかえていたが、コロナが流行りだしてからは今日が初めてである。ストレスをかかえているのだろう、若者たちの喉をつぶすような叫び声に近い歌が聞こえてきた。

唇がこのコロナの間にだいぶ劣化していた。自宅ではミュートをつけてしか練習できないため、生音の感覚がわからない。今日は、また一からやり直すような感じで、ジャズ・トランペット奏者の岡崎好朗氏による教則本をおさらいした。

この教本の中に、ガーシュイン作の『The Man I Love』が練習曲として含まれている。マイルズ・ディヴィスの初期のCD( 上写真)の中に名演奏がある。彼が素直にトランペットを吹いていたときのものだ。ミュートをつけていないパートが多い。この頃のマイルズのトランペットの音がよい。

久しぶりに大きな音を出すとやはり心地よい。カラオケは防音室として使用しているので、歌う訳ではないが、歌を歌い終わった感覚になる。そこがトランペットという楽器の魅力である。

# by kurarc | 2020-07-24 20:18 | trumpet(トランペット)