布野修司著 『近代世界システムと植民都市』を読む

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恩師である布野修司先生の『近代世界システムと植民都市』を読み始めた。なにしろ650ページを越える大著であるため、いつ読み終えられることかわからないが、挑戦してみることにした。以前お会いしたときには、調査のために地球を2周半したとおっしゃっていただけあり、その徹底した記述には脱帽するばかりである。

本書は、手短にいえば、大航海時代以降、オランダにより築かれた植民都市の分析を中心テーマとしている。しかし、興味深いことに、序章において大航海時代という西欧中心の視線は、現在再考されており、モンゴル帝国と大元ウルスとの世界システムについての研究も存在することが言及されている。
序章におけるキーワードと言える「すべての都市は植民都市である」という都市の定義が現在ほどリアリティをもって感じられることはないのではないか。アメリカの価値の植え付けとその破綻が昨年顕在化したことは記憶に新しい。先進国にメトロポリスが、低開発国にプライメート・シティがなぜ出現するのか、これらは植民地化の過程により発生した都市と密接に関係している。都市が見えなくなっている時代において本書はそのパースペクティブを見事に描き出そうとしている。
しかし、果たしていつ読み終えられるであろうか?

by kurarc | 2009-01-05 18:03 | books