Footpath(フットパス)

先日テレビの中で、NPO法人みどりのゆびが作成したフットパスガイドマップが紹介されていた。お手頃な値段であったこともあり、早速購入してみた。
合計3冊のマップは、多摩丘陵のものが2冊、町田のものが一冊。里山の風景が残る小径(Path)が彩色された俯瞰図と地図、解説などにより構成されていて、手作りの絵本のようで親しみやすい。私の母校である東京造形大学周辺の小径も紹介されていた。

日常の生活の中で歩く小径、街路はその人の記憶の中に最も多く定着し、忘れられることのない記憶の風景をかたちづくる。歩く小径が交通量の多い国道沿いの歩道なのか、あるいは小川の流れる未舗装の小径なのかによってその人間の感性に大きな変化が起きるはずである。たとえば、私にとって海外の都市へ行くことの楽しみの一つは、なんと言っても日本では味わえないような小径を歩き、その土地の風景を愉しむことにある。思い出される記憶の中の風景には、立派な建築物ではなく、意外と反覆して歩いた小径の記憶が刻み込まれていることが多い。

こうしたフットパスとしての小径が日本中を駆けめぐり、どの都市へ行っても楽しめるものになればすばらしいことだろう。我々建築家は建築物だけをつくるのでなく、魅力的な小径をつくり、発見することにもできれば寄与したいものだ。

by kurarc | 2009-09-25 20:16 | nature