伝統的工芸品活用フォーラム事業

昨年に続き、伝統的工芸品活用ファーラム事業に参加することになった。

昨年は、樺細工と白磁の商品のプレゼンテーションを行った。残念ながら採用にはいたらなかったが、伝統工芸という領域に関わることで、いつもとは異なる発想を試されたような貴重な体験ができた。今年はどのような分野のデザインに参加するのかは未定だが、造形力を鍛えるつもりでのぞみたいと思っている。

先日東京へ出たとき、池袋にある全国伝統工芸品センターに行ったのだが、そこで気づいたことがある。同じ陶磁器や漆器でも、自分の感性に受け入れられるもの、受け入れられないものがあるということである。それは工芸品の善し悪しとも異なる。工芸品を見ていると、その背後にある民族性のようなものが見え隠れしていて、どうも私のもつ民族性のようなものが善し悪しを判断しているような感覚になった。

陶磁器でいえば、美濃焼、唐津焼,会津焼などが自分にしっくりきた。漆器では、山中塗や春慶塗の赤がよかった。不思議なことに岐阜のものはしっくりくるものが多かったのだが、これは私の曾祖父が岐阜の高山の人間であったことと無関係ではないように思えてきた。同じ九州でも有田焼ではなく唐津焼がしっくりくるのも何か背後の民族性に関係しているのかもしれない。伝統工芸品とは、そうした遠い過去の時間と対話するような感覚が沸き上がってくる興味深い道具である。

by kurarc | 2011-06-01 15:50 | Studio K+T