音楽の趣味の変化について

高校時代にはフリージャズなどをよく聴いていたが、最近は全く遠ざかっている。

テクニックや加速感のある音の羅列のような音楽にはほとんど興味がなくなってきた。もちろん、たまに聴きはするが、ゆったりとしたのびやかな音楽に最近特にひかれる。一枚のCDの中にも昔は派手な曲にのめり込んでいたが、その影に隠れて目立たなかった曲にひかれるようになった。

たとえば、パット・メセニーの名盤『OFFRAMP』では「AU LAIT」がよい。若いときはこの曲の良さに気づかなかった。特にライル・メイズのピアノが光っている。ライルといえば彼のソロアルバム『Street Dreams』の中の6曲目「Before You Go」から7曲目「Newborn」への流れが最近では特にお気に入りである。(以前ブログで紹介した。)

ギターからトランペットに興味が移ったのも、そうした趣味の変化と一致しているように思う。ギターは一音の長さに限りがあるから、いろいろな音を弾かざるを得ない。むしろギターではコードトーンに興味が移って行った。ブラジル音楽にひかれるのは心地よいコードトーンのためであると思う。

いわゆる英雄崇拝といった感覚もなくなってきたように思う。普通に生きている人に最も感心がある。しかし、人間は普通に見えてもその奥にはいろいろな苦労や涙があるから、そうした普通の苦労や涙に目を向けたい。そして、普通の笑いや楽しみを大切にしたい。結局、些細な一瞬の日常を豊かにできるかどうか、そこが人間にとって最も大切なことに思えてきた。

by kurarc | 2011-08-04 23:29 | music