神奈川県立音楽堂 建築見学会

今日は午後から神奈川県立音楽堂の建築見学会へ。

忙しい中ではあるが、今日は本当に参加してよかった。それは、この音楽堂の音響設計を担当した石井聖光先生のお話を直接お聞きできたからである。日本で最初のコンサートホールの音響を担当された方の真に肉声を聞くことができ、大変勉強になった。

石井先生はこの音響を担当されたとき、まだ大学院の学生だった。日本では参考になるホールがなかったことから、設計にあたって、ロンドンのロイヤルフェスティバルホールを参考にし、実験装置も手作りでやり、残響時間等は公衆衛生院の実験室でベニアの残響時間を検討。建設途中にもコンクリートでの状態、内装を少し貼った状態など段階的に実験を繰り返しながら、最終的に残響時間1.4〜1.5秒と言われるホールをつくりあげたのだという。

石井先生のユーモラスな口調で淡々と当時の設計について語る語り方がすばらしかった。ある意味「出たとこ勝負でした」ということだったようだが、やはり、その当時の様々な裏付けに基づきながらこつこつとデータを積み上げていった結果、室内楽にふさわしいホールに仕上がっていったことが理解できた。

このホールの内装はいわゆるベニア板。ベニア板も馬鹿にしたものではない。2部で演奏された大谷康子さんのバイオリンにより、初めてホールの音響を体験できたのもよかった。ステージからだけでなく、客席からバイオリンを演奏するというサービスもすばらしかった。

by kurarc | 2011-09-13 20:57 | archi-works