富士山の断面

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富士山の形は美しい。冬場は特に空気が澄んでいて、晴れた日に鎌倉の山から望む富士山は雄大で、すがすがしい。

しかし、今見える富士が形作られた歴史をみていくと、火山としては最近のことであるという。我々はいわば奇跡的といってよい形を見ているのである。少なくとも縄文時代草創期の人間は現在のような形を見てはいなかった。

上の図でいうと、大きく富士山は三つの火山により形成された。小御岳火山(小豆色の部分ー30万年前)、古富士火山(緑の部分ー10万年前)、新富士火山(薄緑の部分ー1万年前から現在)である。今からおよそ1万年前に新富士火山の活動が活発になり、古富士火山の肩に乗るように噴火時の火砕流が堆積されたために、現在の形状が出来上がったのである。

火山学者は、火山を見たとき、こうした火山の断面こそ想像しなければならない。私たちが何気なく見ている自然風景に30万年の記憶を想像することが必要なのである。

by kurarc | 2012-01-09 20:49 | nature