『喪われたレーモンド建築』(工作舍)が発刊されます

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今日郵便ポストを見ると、何やら大きな書籍が送付されていた。

なかを開けてみると、『喪われたレーモンド建築』(東京女子大学東寮・体育館|東京女子大学レーモンド建築・東寮・体育館を活かす会編著、工作舍)という書籍であり、活かす会の方から謹呈されたものだったのである。

2006年から2009年にかけて、日本建築家協会関東甲信越支部/保存問題委員会に属し、この東京女子大学東寮、体育館の保存活用要望書を担当し、活かす会の方々と接点をもつことになった。残念ながら、この貴重な建築は解体され、保存活用されることはなかったが、この解体までの経緯が詳細にまとめられた書籍である。

東京女子大学には少し縁がある。高校1年のとき、当時の学長であった物理学者原島鮮(はらしま あきら)氏に図書委員としてインタビューを行ったのである。私は高校1年までバリバリの理系人間であり、当時物理学をやろうと思っていたこともあり、ちょうど高校での冊子の記事を執筆するにあたり、高校近くにお住まいだった原島氏にコンタクトをとり、大学にお邪魔した。高校生の我々を丁重に迎えていただいたことは今でも記憶に鮮明に残っている。薄暗い学長室に通され、そこでカセットをまわしながらインタビューを録音し、記事の原稿をおこした。そのカセットテープは多分いまだに高校に保管されているはずである。(私の通った中学は、東京女子大学牟礼キャンパスに隣接していた。すでに牟礼キャンバスは存在しないが、当時中学の音楽室からよく女子大の授業風景を眺めていた。)

こうした訪問から30年以上の年月が経過し、再び女子大学の門をたびたびくぐるようになった。活かす会の方々のたゆまぬ努力により、この数年に渡る出来事が記録された。この記録を無駄にすることなく、我々建築を営むものは、優れた建築を残していく努力を続けていかなければならない。

by kurarc | 2012-04-14 17:28 | books