東京ガス 扇島工場見学

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先日、東京ガス扇島工場を見学した。

およそ10年前にも、この工場が建設中に見学し、液化天然ガス(LNG)タンクを内部から見ることができた。すでに見学したタンクは地中にきれいに埋もれて、上部には芝生が植えられていた。今回見たのは、現在建設中のタンク(上写真)で、これは地上に10メートル程度突出するが、上部は土で覆われ、やはり芝生が植えられるという。

東京ガスの関係者にいろいろお話を伺うことができたのだが、ガス会社は、地震災害には特に敏感であり、地震も、ガルや震度ではなく、SI値で判断しているという。SI値は、建物の被害状況を最も把握しやすい数値といわれており、今後はメディアの中で地震もSI値で認識するように変化していくと思われる。

液化天然ガスはマイナス162度で世界各国から運搬されてくる。その温度でタンクに貯蔵するわけだが、そうすると、タンクの接する周囲と底は凍結してしまい、土砂が膨張し、タンクに圧力がかかってしまう。これを防ぐために、タンクの廻りと底の部分はヒーターが組み込まれ、暖められているという。

タンクを地下に埋めてしまうのは、万が一、液化天然ガスが漏れた場合、周囲に広がらないためと、地震による影響を抑えるためである。結果として、景観に配慮した建造物にもなったのである。およそ内径72メートル、深さ50メートルある地下タンクは東大寺大仏殿がすっぽりと収まってしまう大きさで、建造中のステンレスーメンブレンという膜で覆われた容器を見たときには、この世の構造物とは思えない、SFの世界の構造物のように感じられた。

電力会社の失墜によって、逆にガス会社が注目されているが、東京ガスの安全対策は説明を聞いた限り、かなり万全のものに感じられた。

by kurarc | 2012-07-27 21:00