膝掛けを使いながら考えたこと

寒い日が続くが、新しい事務所に移転してから、ほとんど暖房(エアコン)を使っていない。(朝方と夜間に1時間程度使用するだけ)昼間の室温はおよそ13度前後。事務所は西に面した壁をもつために、その壁に蓄熱された熱が急激な室温の冷却を抑えているのではと思われる。この室温であれば、冬の服装をしていれば寒くない。そのかわりに膝掛けを使用している。

膝掛けといっても、電気毛布のような仕組みのもの。この膝掛けは電気ストーブの消費電力の1/10程度。事務所ではデスクワークが中心なので、足元を暖めるだけで寒さを感じることはない。

たまに外部のオフィスビルに入ると、エアコンの空調で気持ちが悪くなることがある。エアコンから風が吹き出されるときに生ずる音も小さい部屋では不快になる。当たり前のことだが、オフィスビルに空調機が必要なのはOA機器の問題と、規模が巨大で、太陽光が室内の奥まで届かないため、人工的に暖めるしか方法がないからである。

つまり、オフィスビルの建築計画自体、太陽光をうまく利用するという意味において破綻していると言える。その破綻を空調機や自然エネルギー利用と謳って太陽光発電で補充しようとしているということになる。

自然エネルギー利用という前に本当は自然エネルギーを有効に活用できる建築計画の見直しをすることが本筋である。太陽光を最大限に活用するためのスケールに見合うように規模の小さい建築物(すなわち住宅規模の建築物)の集合にしていくことが、究極的には省エネルギーにつながっていくと思われる。建築物の高さの規制緩和をするのではなく、都市の中に低層のオフィスの集落を形成させるような実験的なモデル地区をつくり、エネルギー消費のシミュレーションするくらいの発想を持った知事が現れないものだろうか。

*オランダの建築家、ヘルツベルハーの設計したセントラル・ビヒーア・オフィスビルは小さな建築物を集合させたオフィスビルの代表的事例で、私も見学した。この建築物のような大胆なコンセプトのオフィスビルを日本ではまだ見たことがない。

by kurarc | 2013-01-12 15:34