映画『カティンの森』

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アンジェイ・ワイダ監督の映画『カティンの森』を観る。カティンの森事件を取り上げた映画である。ワイダ監督の父はこの事件に巻き込まれ亡くなっているので、彼にとっては映画にすることが運命づけられた事件であったと言える。映画では、将校の死までを淡々と記述する手法で描かれていた。将校が残した手帳が象徴的なモチーフとなっている。

この事件を最初に知ったのは、大学院生の頃、立教大学の平井正先生のドイツ文学の講義を潜りで聴講していた時である。およそ、25年前のことになる。

事件の経緯は複雑であるので、ブログではふれないが、ポーランドが旧ソ連とナチス・ドイツによって引き裂かれた悲劇のなかで起こったポーランド将校らの大量虐殺事件である。第二次大戦後もポーランドがソ連の支配下に置かれたために、長い間封印された事件であったが、ペレストロイカ以降、徐々に事実が公にされ、ロシア側も旧ソ連の仕業であることを認めた。(しかし、旧ソ連の虐殺行為がジェノサイトではないかという見解には、いまだに議論が分かれているようだ)

ポーランドが文化的に成熟してきたのは、こうした事件の究明が進み、いわゆる民主化が進んでいることの証しなのだと思う。スペイン市民戦争などと同様、20世紀を知るための必須の事件(出来事)である。

*最近ポーランドを取り上げることが多くなったので、新たにカテゴリ「Poland」をつくることに。

by kurarc | 2013-07-07 15:00 | cinema