ヴィットーリオ・デ・シーカ 『昨日・今日・明日』

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ヴィットーリオ・デ・シーカ監督の『昨日・今日・明日』を観る。ソフィア・ローレンとマストロヤンニによる3話で構成された映画。「ナポリのアデリーナ」、「ミラノのアンナ」、「ローマのマーラ」の3話による。

それぞれの都市で繰り広げられる二人の物語は、全く異なるキャラクターが割り振られている。それらをこの二人は見事に演じ分け、娯楽性ある映画に仕上げている。ソフィア・ローレンは、キャラクターこそ異なるが、「強い女」としての役柄は共通しており、その反面、マストロヤンニの方は、貧しい庶民、作家、幼稚な男と「弱い男」を演じ分けている。

中でもナポリを舞台とした第一話、「ナポリのアデリーナ」は圧巻。リスボンの坂道を想像させるようなナポリの坂道を利用したダイナミックな演出は見事で、観ていて心地よい。刑務所に入れられたアデリーナを塀の外から美声によってメッセージを伝えるという演出は、ナポリで本当にあり得たのでは、と思わせる美しいシーン。

若いころのソフィア・ローレンの魅力にもひきつけられた。同じ監督の『ひまわり』が特に有名だが、この頃(『ひまわり』の7年前)のややほっそりとしたソフィア・ローレンはさらに美しい。デ・シーカによるソフィア・ローレンとマストロヤンニの映画は『ああ結婚』がもう一つある。こちらを観れば完結である。

上写真は「ローマのマーラ」の1シーン。背後に見えるのはローマの中心にあるナボォーナ広場。舞台はこの広場の北側のパラッツォのベランダ。グーグルでみると、現在もこのベランダは健在のようだ。

by kurarc | 2013-10-02 10:44 | cinema