アナ・マリア・ヨペクのライブへ

5日の夜、ブルーノート東京へ。ポーランドの女性歌手、アナ・マリア・ヨペクのライブを聴く。

現在、最も注目する女性歌手。5日のライブでは、ポーランド民謡を現代的にアレンジした歌を中心に聴かせてくれた。彼女のCDにはライナーノーツがなく、すべてポーランド語であるものが大半なので、歌詞の意味が未だにわからないが、繊細なメロディーの感覚は日本人の感覚とは全く異なるし、ブラジル音楽の浮遊感のようなものとも異なる。

彼女がポルトガルのファドを現代的にアレンジした歌も歌っているが、むしろ、そのファドのような音楽に近い気がする。彼女は土着的な歌に現代の魂のような感覚を吹き込むことができる女性と言えそうである。

ライブから感じられたことは、写真からは誤解されるかもしれないが、むしろ、飾り気がなく、オーバーなジェスチャーもなく、歌に集中したパフォーマンスであった。彼女の歌を聞いていて、不思議だったのは、ポルトガルのファドが人間の感情に直接響いてくる音楽だとすれば、彼女の紡ぎだす音は、感情というより、むしろ理性に響いてくる官能性と言ったらよいのだろうか。つまり、対立する要素が不可分に結びついた音楽で、私が今までに聴いたことがないような音であるということ。こうした音はポーランド性からくるのか、あるいはもっと広くスラブの音楽世界からくるのか、そのルーツがどこにあるのか謎である。

残念だったのは、ポルトガル音楽を取り上げた『sobremesa』というCDから一曲もライブで取り上げなかったこと。こちらは、次回に期待したい。

*彼女がアレンジする曲の原曲を聴くと驚く。この曲がこのように変わるのか、と。彼女の優れたアレンジ力によって、全く新しい曲に生まれ変わる。これは建築で言えばリノヴェーションやリコンストラクションのような手法と言える。
by kurarc | 2013-10-06 23:30 | Poland