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チャールズ・レニー・マッキントッシュのウィンザー・チェア

椅子を考えていたとき、付加した線がチャールズ・レニー・マッキントッシュの家具の線であることにふと気がついた。

チャールズ・レニー・マッキントッシュの水彩画を大学時代、授業で模写したこともあるし、グラスゴーに彼の代表作をいくつか見て回ったこともあるが、そうした経験が一度身体をくぐり抜けて、あるとき砂漠のオアシスの水のように現れるのだろうか?

チャールズ・レニー・マッキントッシュの仕事の数々はアール・ヌーボーという文脈の中で語られることが多いが、たとえば、彼がデザインした家具を凝視すると、そうしたスタイルだけではなく、彼が歴史から多くのものを学ぼうとしていたことがよくわかる。

初期のグラスゴー・スクール・オブ・アートのライブラリーのためにデザインされたウィンザー・チェアー(ダッチ・キッチンのための椅子のリ・デザインだという)はその代表的な事例であると思われる。この初期のライブラリー画像はインターネット上ではなかなか見つからないが、この椅子は学生たちのハードな使い方のために、補強を入れて使っていたらしい。特にウィンザー・チェアの背の曲線が、形式的な曲線でなく、マッキントッシュらしく、私は気に入っている。

ウィンザー・チェアを単に模倣するだけでなく、彼の解釈がしっかりと付加され、咀嚼されたのちにデザインされていることがよくわかるのである。こうした装飾的ではない彼の仕事の中に、実は彼の本質が見えるような気がする。

マッキントッシュのウィンザー・チェアの画像はネット上で見つからない。
『マッキントッシュ インテリア・アーティスト』(ロジャー・ビルクリフ著、芳賀書店)のpp.193に画像が掲載されている。

マッキントッシュの線が現れたから、それをデザインに取り入れる訳ではないし、排除するわけでもない。このような場合、デザインをしていく過程でのスタディの一つとして検討することになる。

30年ほど前にグラスゴーを訪れたときにメモをしておいた手帳を何気なく見ると、ロジャー・ビルクリフ(Roger Billcliffe)氏の本を見知らぬ英国人から紹介してもらっていたことが書かれていた。やはり、本は出会いと同じである。
by kurarc | 2013-10-31 20:56 | architects