ナラとブナ

ヨーロッパでは家具の材料としてナラとブナは最もポピュラーな木材である。先日このブログで紹介したJ-39という椅子も、ナラ(Oak)とブナ(Beech)の両方の仕様があり、製品化されている。

木材としてはどちらも甲乙つけがたいが、ブナの方は含水率、収縮率の偏りがあり、狂いやすいといわれている。それに比べてナラ(ミズナラ)の方は、特にJapanese Oakと言われる高級材が日本にあることから、高級な家具に使われることが多い。

戦前には伍平材といって、2×5センチ(または2×4センチ)のナラ材が輸出用につくられた。日本における近代デザインの実験所、型而工房(けいじこうぼう)の椅子に、この2×5センチのナラ材を使用した名作「小椅子」がある。この椅子はちょうど私が修士論文のテーマとしたブルーノ・タウトが来日した1933年(または1934年)に発表された。当時、一般に用いられていた尺貫法でなく、メートル法に基づいてデザインされたことは先進的であった。

J-39を見学に言った時にも、この二つの木材でつくられた椅子を比較したが、私はナラ材の方が椅子としてなじむ気がする。ブナの方は黄色みが強く、椅子としての表情は軽い。ナラの方は風合いに幽玄を感じるが、単に日本的であることには収まらない魅力がある。

現在デザイン中の椅子も、このミズナラでつくられることを想定している。J-39のデザイナーであるモーエンセンは特にこのナラの無塗装を好んだと聞く。私もできれば無塗装で時間の経過が刻まれていく様を楽しめる椅子を心に描いている。
by kurarc | 2013-11-12 20:57 | design