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ヘプバーン TV映画『マイヤーリング』

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ヘップバーン秘蔵のTV映画が上映されている。『マイヤーリング』(1957年)である。昨日、公開の初日にこの映画をみるため、六本木まで出かけた。19世紀末にハプスブルク家で起こった現実の事件、皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーの心中事件(真相は不明)をもとに製作された映画である。ヘプバーン映画の中では、『昼下がりの情事』と『尼僧物語』の間に製作されたTV映画となる。

TVドラマにヘプバーンが採用されたようなTV映画であり、贅沢なつくりとなっている。衣装、音楽など当時の時代をよく再現しているものと推察される。ルドルフは街に出て、庶民の音楽(シュランメルなど)を楽しんだことで知られているから、そうした当時の音楽がうまく映画の中に取り入れられている。

残念だったのは、全体に映像が荒く、みるに耐えられないほどであったが、ヘップバーンの当時の円熟した演技が楽しめた。ヘップバーン映画をすべてみてはいないが、最後彼女が死んでしまうという映画は多分この映画しかないのでは?と思う。(映画『オールウェイズ』では天使役がある)

1950年代から60年代の映画の保存修復は、現在映画界にとって大きな問題の一つとなっている。たとえば『ローマの休日』の修復において、一コマあたり400前後のゴミが付着していたという。1秒は24コマであるから、そのゴミがいかに膨大な数であるか理解できる。それらを丹念に掃除してから明暗の対比などオリジナルの映像を尊重し、デジタル化していく。ここでも、建築の保存と同様、オーセンティシティが厳守されることは言うまでもない。

ヘプバーン映画のようなよく知られた映画を精緻にみていくことが今年の映画をみる楽しみの一つ。彼女の映画を凝視すると実に緻密につくられていることがわかる。猫一匹の立ち位置まで計算されている程だ。何気ない日常でも自然でもかまわない。そうしたありふれたものを「よくみること」はここ数年継続している重要なテーマである。
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by kurarc | 2014-01-05 17:39 | cinema