映画 趣味の範囲を超えるものとして

このところ、このブログでは映画のことばかり書いている。私にとって映画は趣味の範囲を超えて、世界を学ぶためのテキストになってきている。映画は総合芸術と言われるが、それは建築と非常に近しいものであるため、一層興味がわいてくる。映画の中で扱われる建築、都市やその空間性などを観察することは今や習慣になっている。そうしたことだけでなく、以下のように現実的な理由もある。

1)映画(DVD)が非常に安価にレンタルされるようになったこと。

2)家の中で鑑賞できるようになったこと。(これにより映画館が衰退したことは残念だが)

3)およそ2時間で完結していること。

4)様々な国の感性を体験できること。(旅のようなものに近いこと)

5)映像だけでなく、魅力的な言葉(会話)、音楽等が映画に含まれること。

6)映画はフィクションであること
  etc.

1)は、古い映画であれば、現在100円でレンタルされているから、コーヒーを一杯飲む金額で3本の映画をみることができるようになった。2)は、DVDで何度も様々なシーンを反復してみることができるようになったメリットは大きい。トイレを気にすることなくみることができるのもよい。3)は、楽しむ時間が限定されていることは、生活の中に映画の時間を設定しやすくなる。4)は、映画が世界を知るきっかけになること。5)は、言葉のセンス、音楽の幅がひろがること。6)これは最も大切な認識である。フィクションだから映画を楽しむことができる。

以上のように、映画は生活に負担がかからないものになったことが楽しむ機会を増やした最も大きな理由と言ってよい。デジカメの普及で写真を楽しむ層が増えたことと同じような現象だと思う。

この中で、映画館の衰退については残念なことだが、現在渋谷など都心ではミニシアターがかなり増加してきた。大規模な映画館にはあまり興味はないが、現在大正、昭和の時代から残っている数少ない映画館(いわゆる名画座)を記録に残すような試みを思案中である。子供の頃、身近にあった映画館が再び都市の中に取り戻される日を期待したい。

by kurarc | 2014-01-11 10:19 | cinema