西鶴と金平糖

寺田寅彦の本を読んでいると、井原西鶴の話が出てきた。寺田は、金平糖の角の研究をしていたらしく、その金平糖のつくりかたが、西鶴の『日本永代蔵』に書かれているからである。

早速、図書館で調べてみる。西鶴の『日本永代蔵』巻五、第一、「廻り遠きは時計細工」に金平糖の話が取り上げられていた。製法を詳しく記述されてはいないが、金平糖が南京から渡来し、長崎の女性の手業(てわざ)により製造され、これが上方に伝わった話が出ていた。

西鶴にはあまり親しんではいないが、このところ何か本を読むと登場してくる作家である。あの太宰治も彼の浮世草子の軽妙な文体を研究したことで知られている。そして、寺田寅彦まで西鶴の科学的知性に感嘆しているのである。映画では、溝口健二が西鶴の原作を映画化している。『西鶴一代女』(原作 好色一代女)は最も優れた日本映画の一つと思っている。気がつけば、西鶴は切っても切れない人物だったことに気がついた。

ちなみに、この「廻り遠き・・」は、「唐土人(もろこしじん)は心静かにして、世のかせぎもいそがず、琴棊詩酒(きんきししゅ)に暮らして、・・・」のようにはじまる。「中国人は心が落ちついていて、家業にあくせくしない。琴、囲碁、詩、酒の風雅な楽しみに日を暮らし・・・」と訳される。こうした文語も久しぶりに読むと新鮮である。今年は、西鶴を通じて江戸の旅にもでかけることにしよう。
by kurarc | 2014-01-12 17:26 | books