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ヤン・ファン・エイク 「アルノルフィニ夫婦の肖像」

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高校時代、美術、芸術に興味をもつきっかけになった本がある。高階秀爾著『名画を見る眼』(岩波新書)である。続編も含め、主に近代芸術(近代絵画)を扱った書物であるが、この最初に登場するのが、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィニ夫婦の肖像という絵画。

当時、私はこの絵画の神秘性に魅せられて、いつか実物をみてみたい、とずっと思っていたが、ポルトガルに滞在していた1998年、ポルトガルからロンドンの友人に会いに行った際、ロンドンのナショナルギャラリーでその夢を果たすことができた。

ファン・エイクは、北ヨーロッパで発達した油彩という手法を完成させた画家として知られている。油彩の歴史は現在、かなり古いものとされており、8世紀またはそれ以前に、石材やガラスの上に描く手法であったという。ファン・エイクは、油彩においてダ・ヴィンチの先駆者といってよく、彼の業績の上にルネサンスがあるといっても過言ではない。最近フェルメールはよく話題にされるが、ファン・エイクこそ「光の画家」というにふさわしい。

結婚祝いの瞬間を表現したと言われる「アルノルフィニ夫婦の肖像」は、神秘的、魔術的な絵画である。画面の中央奥に凸面鏡があり、その中に彼らを訪ねた人物が描かれている。天井につるさがったシャンデリアには一本の燃えるロウソクのみ。これはすべてをみる神の眼の象徴、中央の犬は貞操の象徴等、絵画の中に様々な隠喩が織り込まれ、ルネサンス初期の絵画でありながら、すでにマニエリズムの領域に脚を踏み入れた絵画のようにさえ思えてくる。

こうした絵画をロンドンのナショナルギャラリーでは、無料で見学ができる。日本の国立美術館も毎日とは言わないが、一週間に一度くらい無料で鑑賞できる日を設けるべきである。
by kurarc | 2014-01-14 22:17 | art