人気ブログランキング |

アンゲロプロス監督の遺作 『エレニの帰郷』

b0074416_2216485.jpg

テオ・アンゲロプロス監督の遺作となった映画『エレにの帰郷』をみる。 中心に描かれたのは、1953年から1999年までの世界。一人の女性エレニとそれをとりまく男性二人、エレニの子供Aと孫(エレニ 同名)。1953年はスターリン死去の年と重なる。

およそ50年の月日が行きつ戻りつ描かれる。時間を追うことでかなり混乱してしまうが、これもアンゲロプロスのいつもの手法である。『エレニの旅』、『エレニの帰郷』と最期に『もう一つの海』という3つの映画(Torilojia トリロジア)で完結するはずであったが、2012年1月24日に不慮の事故で他界したことで、最期の映画は未完のままに終わったという。

『エレニの帰郷』は、スターリン死去からのヨーロッパ50年を総括するような映画であったが、その中心に描かれたのは、わずかな人間の恋物語。映画は当たり前だが、限定された世界しか描くことができない。小説も同様、すべての表現行為とは、世界のある一点に的を絞って表現するしかない。しかし、それは広がりをもつ。その広がりがどのように共有できるのかが、映画の価値を決定する。

この映画では人が抱擁する姿が美しかった。日本人は概して異性としか抱擁しないが、それはなぜかと考えさせられた。エレニを演じたイレーヌ・ジャコブは、『ふたりのベロニカ』、『愛のめぐりあい』の頃から比べて、随分と大人の女性に変身していた。アンゲロプロスの最期の映画のヒロインにはふさわしかったのではないか。(上写真:映画館入り口に置かれた遺影、下写真:イレーヌ・ジャコブ 『ふたりのベロニカ』の頃)
b0074416_22293498.jpg

by kurarc | 2014-01-27 22:16 | cinema