トリコロール/赤の愛 切断の手法

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クシシュトフ・キェシロフスキ監督の『トリコロール/赤の愛』をみる。先のブログで取り上げたイレーヌ・ジャコブがヒロインの映画でずっと気になっていたからである。しかし、映画の題名が気に入らなかったため、ずっとみることを迷っていた。何か軽薄な恋愛映画のように勝手に思っていたのである。

しかし、その予想は見事に裏切られた。イレーヌ・ジャコブの魅力もさることながら、シナリオ、光の使い方などクシシュトフ監督の映画のうまさ、歯切れの良さが際立った作品であった。その中でも特に新鮮だったのは「切断の手法」と言えるようなつくりかたであった。

俳優達が何気ない台詞をかわしているシーンの中に入る巨大な音(ガラスの割れる音、風で窓が開く音など)であるとか、違和感のあるシーンをわざとはさんで映画を一時的に切断することで、映画に緊張感が生まれる。そうしたシーンが自然に積み上げられ、密度ある映画に仕上がっていた。音楽の使い方も最小限にとどめてあり、好感がもてた。

このトリコロールのシリーズは他に、青の愛、白の愛と二つあるが、3部作なだけに残りもみるしかない。赤の愛は、奇しくもクシシュトフ監督の遺作となった映画である。イレーヌ・ジャコブは巨匠たちの遺作のヒロインを2度もつとめたことになる。

*意識していた訳でもないのに、この映画もポーランド人の監督。最近はポーランドやウクライナなどの中欧からロシアあたりの文化圏が私にとって身近になってきた。
by kurarc | 2014-01-29 21:17 | cinema