ピエロ・デラ・フランチェスカ 『キリストの降誕』

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ミア・ファロー主演の映画『Follow me』の中に、ロンドンのナショナル・ギャラリーを回遊するシーンが出てくる。そのシーンで3つの絵画が映されるが、何か不思議な魅力のある絵画として印象づけられたのは、ピエロ・デラ・フランチェスカの『キリストの降誕』(上)であった。

初期イタリア・ルネサンスの画家を代表する一人としてピエロ・デラ・フランチェスカは、特に20世紀になって見出された画家だという。『キリストの洗礼』(下)が特に有名だが、この絵画は中世以来の手法であるポプラ板の上に卵テンペラによって描かれた。

『キリストの降誕』は、ポプラ板に油彩で描かれており、未完成の作品であるという。ネーデルランドの油彩の手法を学習するために描いた絵画と思われるが、その褐色とくすんだブルーの色彩は、イタリア絵画の色彩としては希少であり、浮遊感を感じる作品である。

ピエロ・デラ・フランチェスカは、ダ・ヴィンチの先駆者として、絵画を遠近法など数学的に解析できる能力を身につけた最初の画家と言われている。宗教絵画でありながら、色彩が明晰で、血なまぐさい感じのない透明感のある表現であることから、20世紀にその真価が発見されたのかもしれない。
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by kurarc | 2014-02-13 22:50 | art