肉体労働とサンバ

肉体労働のように身体を激しく使う労働をすると、自然とブラジル音楽が頭の中に響いてくる。それも、サンバである。

アフリカの黒人によってもたらされた音楽から派生したサンバ。その起源は様々な説があるが、Samba da Roda、つまり輪になって踊る音楽であるという説やSemba(へその意)から、ある中心を囲んで踊るための音楽など様々である。(濱田滋郎氏による)

黒人はもちろん奴隷として連れてこられたから、彼らはその過酷な労働を和らげるような音楽を口ずさんだこと、また、アフリカで労働中に口ずさんだ音楽の再現など、新天地のブラジルに来ても様々な状況の中で、音楽と生活とが分ちがたく結びついていったことが想像される。

また、アフリカに多い2拍子のリズムとスペインに多い3拍子の複合もあり、ブラジルのサルバドールからキューバ、ドミニカ、ハイチなどの北へ、またペルー、アルゼンチンなどの南へと黒人音楽が広がっていった。たとえば、タンゴのリズムはキューバのリズムが伝わったもの(*)と言われており、中南米世界は、多様な音楽文化を形成することになる。

労働という過酷な状況の中で、サンバのような明るい、ある種ユーモアを感じられる音楽がブラジルに広がったこともよく理解できる。そのせいなのだろう、私もきつい労働のときには、セルジオ・メンデスのサンバなどが響いてくる。そのうちに、いやな気分もどこかへ行って、その日を乗り切ることができるのである。

タンゴは、1)アバネラ(Habanera)をハバナ(アバナ)から輸入、2)スペイン経由のタンゴ・エスパニョール、3)ポルカの流行が南米へ伝播、これらが複合してタンゴ・アルゼンチーノが生み出された。ピアソラによれば、古くはナポリの音楽文化の影響もあるという。
by kurarc | 2014-03-22 22:28 | music