映画『ふたりのベロニカ』再び

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映画『ふたりのベロニカ』のDVDをとうとう購入する。何度みても興味深い映画である。今回は映画の中の色彩に注意した。

黄色いフィルターをかけての撮影とはよく言われるが、この映画はそれだけではもちろんない。人形劇では、緑色のフィルター(または照明)と思われる色彩が使用されているし、背景(部屋の調度品など)にある事物の色彩、また主演のイレーヌ・ジャコブが身につけている衣装の色彩など、かなり意図的に色彩のデザインをしていることがわかる。

特に今回気になったのはイレーヌ・ジャコブの衣装である。それは、後の『トリコロール 赤の愛』でテーマとなる「赤」が彼女の衣装の中にすでに取り込まれている。この二つの映画は対になっていると以前のブログで書いたが、映画監督とは映画作家でもあるから、作品の連関について考えることは当然であろう。それにしても、この映画の中での彼女の身につける衣装の色彩、センスがすばらしい。

先日みたヒッチコックの『知りすぎていた男』のクラシック音楽をモチーフとしたサスペンスも、キェシロフスキに何らかの影響を与えているのでは?と思われなくもない。ポーランドのベロニカがクラクフの広場で偶然、フランスのベロニクをみるときの回転するカメラワークは、ヒッチコックの『めまい』のカメラワークの影響という指摘もあり、この映画もテイストは異なるものの、音楽を主題としたヒッチコックの『知りすぎていた男』との何らかの影響関係があったのではないかと推察される。

この映画は「みる」、というより「映画と過ごす」という感覚になる希有な映画である。これほど落ち着いて映画に浸ることができる作品もめずらしい。
by kurarc | 2014-04-02 22:00