ライアル・ワトソン 『風の博物誌』

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図書館からライアル・ワトソンの『風の博物誌』を借りてきた。ライアル・ワトソンは一時、ニューサイエンスの旗手として登場し、随分とマスコミにも取り上がられた科学者であったが、データ偽造などが明るみに出て、その後、あまり取り上げられなくなったと記憶している。

しかし、彼の著作を改めて眺めてみると、興味深いテーマが数多い。この『風の博物誌』の原題は『HEAVEN'S BREATH』であり、”風”といっても”WIND"でないところが深い。最近このブログでたびたび紹介しているマイケル・ウェランド著『砂 文明と自然』の編集の仕方も、かなりワトソンの影響を受けていると思われる。

トランペットをやるようになってから、呼吸について関心をもつようになったことも、この本と再会するきっかけとなったし、大学院時代お世話になった建築家、毛綱毅曠(もづな きこう)先生は、ワトソンと共著(『共鳴する神々―鎮守の森からのメッセージ』)を出版されていたことを思い出す。毛綱先生から大学院の授業の一番はじめに読まされた本は、アーサー・ケストラーの『ホロン革命』であった。

"風”のような自然現象から、風力発電によりエネルギーがもたらされるようになったが、あの風車の化け物のような装置は、実は風についての無知をさらけ出している装置なのではないか?風は、もっとエレガントな活用の仕方があるはずなのだが、誰もまだそのことに気づいていない、とワトソンのような科学者なら考えるはずである。現在、図書館にもう一冊、『エレファントム』という本を取り寄せてもらっている。私の大好きな動物”象”をテーマとした本である。

砂と霧と、そして生命をもった”風 BRETH”を忘れてはならないだろう。

この本の最後に、世界中のおよそ400もの風の辞典が掲載されている。日本の風も数多く取り上げられている。たとえば、「MATSUBORI」は「人知れず局所的に起こる強風」だという。

by kurarc | 2014-04-27 20:29 | nature