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映画『トリコロール/赤の愛』再び

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映画『トリコロール/赤の愛』を再びみる。今年のはじめにみて、このブログでも感想を書いた。そのときは「切断の手法」についてふれたが、今度は映像の重合、連関といった効果についてふれたい。

この映画では、様々なシーンが、過去と現在、未来にわたり重合、連関しているというコンセプトに基づいて製作されている。モデルのヴァランティーヌ(イレーヌ・ジャコブが演じる)がなにげなく撮影された巨大なチューインガムの広告用写真が、街頭に貼られる。その横顔は、最後、彼女がイギリスに渡るため、フェリーの遭難事故に遭遇し、救出されるときに写し出される横顔と重なる。つまり、彼女はモデルとして撮影した写真が、未来を予見していたということを暗示している。それも、モデルでの撮影も濡れた姿で撮影されたものだった。

こうした様々な重合、連関がストーリーの中に入れ子になって映画全体がかたちづくられる。一見、コンセプトが先行した頭でっかちな映画になりそうだが、映画監督キェシロフスキーはそうしたことを一切感じさせない。とにかく、この映画は「映画としてうまいでき」なのである。そして、見終わったあとに清々しさも感じられる。あの『男と女』の名優ジャン=ルイ・トランティニャンの抑制のきいた自然な演技もよい。全く何も言うことはない。パーフェクトな映画である。
by kurarc | 2014-06-07 18:39 | cinema