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雑木林と柴

桃太郎の物語の出だしに、「・・・おじいさんは、山へ柴刈りに・・・」の「柴」について、今まで考えたことがなかった。三浦朱門著の『武蔵野ものがたり』の中で、三浦が雑木林のエピソードと共に、「柴」について教えてくれた。

「柴」とは、燃料用の雑木の枝の類のことだという。つまり、薪として利用できるような枝のことである。武蔵野が雑木林でおおわれていた頃、雑木林は人々の暮らしの中に生きていた。雑木を「ざつぼく」と読むことは正しくない。杉やヒノキといった有用な樹木に対し、役に立たない樹木を「ざつぼく」と読ませたからである。それは全く樹木に対する蔑視とも言えることである。

三浦の著作は、興味深いエピソードにあふれている。たとえば、雑木林の中で、枯葉は、落ちてからすぐにとってはいけないことになっていたという。年末の頃まで待ってから腐葉土になるのを見計らい、落ち葉掻きをしたのだという。

また、雑木を根元から伐採して、縄でくくり、多摩川で堤防が決壊しやすそうな場所に水流を弱めるために使用したという。これを「木流し工法」という、のだとか。多摩川流域で「柴」のつく地名のあるところは、この工法が使われた土地ということらしい。

三浦の著書によって、武蔵野、多摩といった地域が全く新しい歴史を現しはじめた。郷土史の入門書といってよく、良書に巡り会えたことは幸運であった。
by kurarc | 2014-07-13 20:54 | nature