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細胞の初期化と自然災害

先日、理化学研究所の中村幸夫氏の講演『万能細胞の可能性』を聴講した。ES細胞より、IPS細胞がなぜ画期的だったのかについてもよく理解できたが、こうした研究の成果を聞きながら、いろいろなことを勝手に想像した。

一つは細胞の初期化と自然災害について。3.11の災害は我々に多大な被害をもたらしたが、このときに思ったこと、それは、自然は初期化したがっている。つまり、自然の状態にもどりたがっているのではということだった。人間からみれば災害として認識される事実も、自然からみれば、人間が都市化したことなど知ったことではない。瓦礫と化した街をテレビで眺めながら、これはいわば自然に帰ろうとしている現象なのではないか、と思ったのである。

細胞の初期化という現象とこの自然現象に全く関連性はないが、IPS細胞は、受精卵を必要とすることなく万能細胞を作成することができるということは、普通の細胞の中に自然に帰ろう(原初の時間に回帰しよう)とするプログラムが組み込まれているとも思えてくるのである。あるいは、生から死という時間ではなく、初めに死があり、その後、生が誕生したという通常と逆行するような生命の時間を考えることが可能なのではetc.

また、我々はよく血液型を取り上げて性格などを判断するが、これは赤血球のタイプであり、実は白血球には組織適合性抗原(HLA)があるが、これは、1万人に一人の割合で一致する人がいるという。このわたしと一致する人というのは、一体、わたしとどのような縁、関連があるのか知りたくなった。HLAが一致する人を探すには、およそ10万人のドナーを探す必要があるという。10万人に一人と言っていい同一のHLAをもつ人にお会いしてみたいと思ったのである。(もし、HLAが一致する異性と結婚ができれば、輸血時など心配がいらなくなる)

細胞培養の歴史は、20世紀の歴史のなかで築かれたものだが、こうした永い歴史を考えたとき、21世紀の初めに(2007年)IPS細胞が樹立されたのもうなずけた。移植から再生医療に転換するというパラダイムが始まったのである。

あかの他人で、HLAが一致する人、それはどうも、過去、それも何千年も前の親戚である、とういことらしい。ますますお会いしたくなってきた。
by kurarc | 2014-07-24 21:03 | nature